国際的な立ち位置によく似た部分もあるドイツと日本。ところが、経済的に好調なドイツに対し、必ずしも好調とは言えない日本。その違いの分析から、「働き方改革」に鋭く切り込んだ本がある。熊谷徹「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人」(SB新書)だ。
画像: 働き方改革に真剣に取り組んでいる全ての人に読んで欲しい1冊

残業なしの経済大国ドイツ

このところ少し減速気味ではあるが、ドイツがEUにおける経済大国である事は間違いない。世界第4位の経済大国で、中国に次ぐ貿易黒字国であるドイツは、財政黒字化も達成し、その上失業率も極めて低く、徹底した時短で日本より46%高い労働生産性を誇っている。著者の熊谷氏は27年のドイツ在住経験に照らし、日本の働き方環境との違いを様々な角度から検証し、なぜ残業なしで生産性が高いのかを,説き明かしている。

国家の厳しい労働時間管理と、仕事に対する認識の違い

ドイツと日本の生産性の違いについて、著者はいくつかの認識を示しているが、主だったもののひとつは、ドイツでは労働時間に関して厳しい規制があり、それが遵守されるよう罰金を設けるなど国家の監視が行き届いており、残業時間が際限なくふくらむことがないということだ。その前提で仕事をするから単位時間あたりの生産性が上がるのだ。日本でも、電通新入社員高橋まつりさんの過労自殺を契機に残業時間の上限規制に向けて国が動き出したものの、ドイツのような厳格さはなく,骨抜きになりつつあるという。

働き方についての意識も,日本とドイツではかなりの開きがあると指摘する。たとえば、罪悪感なしに長期休暇取得でき休暇に仕事を持ち込まないのが普通であること、仕事は会社につくと考えるため組織として仕事に対応し個人が仕事を抱え込むことがないこと、労働契約が明確なのでその範囲外の仕事は断ることが当然であること、など合理的な働き方が根付いていることも生産性に大いに影響している。

日本がドイツに学ぶべきこと

この本の中で著者は、生産性の高いドイツ人の働き方を紹介しながら、日本の働き方改革に大いに参考になる提言を行っている。その中には、身の回りからできる「働き方改革」のヒントなど、具体的ですぐ始められる提案もある。さらに、より根本的な問題として働き方に対する日本社会の意識をどう変革したらよいかについても多くの提言をしている。

たとえば、筆者が会社勤めをしていた頃、度々遭遇した「お客様は神様」という意識である。この意識の下、理不尽で不合理な仕事をせざるを得なかった記憶がある。何ごとも合理的に考えるドイツではあり得ないが、この意識は日本のどの会社にも大なり小なりあって、なかなか抜けきれないのが実情だ。しかし勇気を持って過剰サービスを見直すことで悪循環を断てば、時短を実現できる道があるはずだ。

この本は、日本の「働き方改革」を推進していく上で,実に示唆に富んだ内容となっている。特に日本人の働き方を、「会社」のためではなく「個人」の幸福ために改革したいと願っている全ての人に読んでもらいたい。

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